
トピックス
ゆいネット報告書
札幌市 苗穂レディスクリニック 堀本 江美
平成22年は札幌会議、懇親会、講習会と3つの事業を行い、「ゆいネット」は子ども達を守り支援して行こう!と熱い思いを持った方々が一同に会する素晴らしい会になりました。
3年間の活動を通じて、こんなに身近に熱い思いを持つ専門家たちがいることに驚き感激すると同時に、会に政策決定を担う市議会議員や道議会議員が多数参加してくれたことや、保健所・警察・教育委員会などの行政組織の参加も高く評価できます。以下に3つの会議の報告をします。
ゆいネット札幌会議(22年5月)
以下のプログラムに沿って会議を進行した。
(1)「ゆいネット札幌会議発-札幌市議会提案事項の進行状況と展望」について
札幌市議会議員 三宅由美
(2)「子どもアシストセンターの具体的対応」
元中学校校長 山田明子
(3)札幌市教育委員会
澁谷一典
(4)札幌市青少年女性活動協会
寺田陽子
ゆいネット札幌会議・夏の懇親会(22年8月)
いつものメンバーに加えて、北海道警察本部警務課犯罪被害者支援室の車久司氏達も参加、被害者センター(ワンストップセンター)を札幌で設立するために何ができるかを熱く語り合い大いに盛り上がった。
女性と子どもの相談支援者講習会(22年7月3,4日、9月4,5日)

子どもの相談支援に関わっている方々のスキルアップと、今後子ども達の支援ボランティアになりたい方の養成を目的に、4日間にわたり講習会を開催した。
ゆいネット札幌会議の懇親会の場で、児童会館でボランティアをしてくださる善意の方々は多いが、健康知識や公的な支援の受け方、およびカウンセリングの基本などの勉強の機会が無いことが話題に上がった。ゆいネット札幌会議参加者が講師として手を上げて下さり、この講習会が実現した。
札幌児童相談所より「子どもの虐待の基礎知識とケアの現状」について10の事例を取り上げ、グループ討議を通じて、愛着障害・感情コントロールの問題・親への複雑な思い、など様々な子どもの問題について講義があった。児童会館を運営する札幌市青少年女性活動協会の方より、具体的な子どもとの遊び方が紹介された。

長年DVの事例に関わってきた家裁の調停委員の「DVにはあらゆる刑事犯罪が含まれている。DVは子どもの心身に成長に多大な影響を与える。心理的外傷を与える。」という言葉には衝撃を受けた。札幌市アシストセンター救済委員(臨床心理士)からは、心とは何か?と問われ、現代を生きる私たちの環境そのものが苛酷であること、思春期の放任や孤食の増加は子どもの心の問題を深刻化していること、学校での子どもの問題の顕在化や教師の求心力の低下など、学校ストレスが大きくなっていることなどを学んだ。

次に精神科医師から、カウンセリングが必ずしも子どもをハッピーするわけではないことや、人格を形成する性教育の重要性など基本的な知識の講義を受けた。
司法面接や性暴力支援センター大阪のお話を聞く機会もあり、素晴らしい講習会となった。
平成21年度 ゆいネット札幌会議 第4報
札幌市 苗穂レディスクリニック 堀本 江美
平成22年2月4日札幌市民ホールで第4回のゆいネット会議を行った。今回は予定より参加希望者が多く、31名の申込みがあった。以前の参加者の口コミで、新たに弁護士や市会議員、大学教員、歯科医師、メディア関係者が参加し、年齢も職種もより幅広くなり、ネットワークのきめ細やかさが増した。
平成21年4月から、札幌市に「子どもの権利救済機関、子どもアシストセンター」が発足し、児童相談所に届く前の、子どもや保護者からの様々な相談を受けている。
この施設を代表して、弁護士の薄木救済委員から、設置目的や実際の活動についてお話いただいた。児童虐待が起こる前に相談に乗ることで、その芽を摘み、子どもや保護者の孤立を防ぐことが大切であることを力説された。昨年春には札幌市内の小中学校すべての生徒にアシストセンターのカードや便りが配布され、発足9カ月で2763件の相談があり、行政では、全国でも珍しくメール相談が半数を占めた。発足して9カ月、この相談の中から、6件の虐待通報につながった。そのうちのひとつは、祖母がアシストセンターに電話相談して発覚した性的虐待であった。現在、被害者は一時保護されている。この事をみても、電話やメールによる身近な相談から、深刻なケースを救う事ができる。このシステムが上手く機能しはじめていることに光を感じた。
札幌市児童相談所の児童虐待対応課の藤代課長のお話を伺った。児童相談所では24時間体制で通報を受けているため、夜間や土日祝日は課長が1人で全てを受けているとのこと、いつでも待機というのはまるで産科医のようだ。医療関係者ではなく、市の職員が昼夜を問わずに職務を遂行していることに、皆さん驚いていた。また深刻なケースの報告を聞き、現実の問題がいかに対応困難で、私たち大人が守らなければならない子どもがいることを、出席した皆が再認識した。
困っている子どもや保護者が、誰かに相談するのが始めの一歩であり、アシストセンターだけではなく、あちらこちらから支援の手が差し伸べられるサポート体制の設計が必要であることを感じた。
その後の会費制の懇親会での談笑で心を通わせることができたように思う。職種も立場も様々であるが、子どもを救いたいという気持ちは同じだ。地域の大人が心を繋いで、幅広く結び目(ゆい)をこしらえていきたい。
北海道歯科女医会 講演会
“弁護士からみたDV訴訟の実態”に参加して
本間内科医院 澤田香織
北海道歯科女医会よりご案内頂き、平成21年10月31日札幌プリンスホテルで行われた弁護士高崎裕子先生の講演会、<弁護士からみたDV訴訟の実態>に出席致しました。以下報告いたします。
【DVの概念】

身体的暴力、非身体的暴力(精神的 経済的 性的暴力)がある。身体的暴力では、半数以上が繰り返し暴力をうけている。暴力の理由はなんでも良く、慣れてくると見えないところを殴るという風に暴力も進化してくる。妊娠中のお腹を蹴る、といった例もある。非身体的暴力では『殺してやる』といった暴言や、女性にお金を下さいと土下座させたり、召使いの様に扱うこともある。
共通して<暴力はしたくないがお前が悪いから暴力をしてしまう>、<やりたくて殴るわけではない>といったように、自分を正当化する。また暴力を受ける側にも<私も悪いんです>と思わせるような洗脳がある。
【DVの実情】
平成21年男女における暴力に関する調査より
既婚者では
身体的暴力をうけた 女性 24.9% 男性13.6%
精神的暴力をうけた 女性 16.6% 男性8.8%
性的暴力をうけた 女性 15.6% 男性4.3%
アメリカでは200~400万人が暴力を受け、その1/7は医療機関へ、1/3は救急外来へ行くが、1/4は自殺し、1/4は望まない妊娠をする、という暴力の深刻さが提示された。
【DVのサイクル】
《 緊張が蓄積 → 暴力の爆発 → ハネムーン期 》
これがDVのサイクルで、経過の中でこのサイクルは段々短くなり、深刻化し ハネムーン期が無くなる傾向がある。
【DV被害者の心理】
うつ、孤立、PTSD、自分の評価が低いだけでなく、自信がない、一人では不安といった、いわゆるオンダンがいう“殴られた女性症候群”状態になる。社会的な地位は関係なく、暴力を選び自分でコントロールしている。
【子供への影響】
DVを目撃した子供もまた、気に入らないことがあると暴力をふるう、暴力を受け入れてしまう、といった負のスパイラルがあることを示されました。
暴力はどんな場所でも許されない。
暴力はNo!!といえる教育がすべての子供たちに望まれます。講演を聞いているうちに、怒りというか、恐れというか心の奥底に眠っている感覚が揺さぶられるような気がしました。
暴力をイメージするだけでも結構エネルギーが必要です。本当に私たち医師として、女性として出来ることはどんなことなのでしょうか?これからも、更に学びながら、いろいろな職種の皆様と一緒に考えて行きたいと思います。
平成21年度 ゆいネット札幌会議 第3報
札幌市 苗穂レディスクリニック 堀本 江美
平成21年11月14日、札幌市内のレストランで、今年3回目の会議を開きました。
取り上げた内容は、大変厳しい症例で、当事者の人生を考えると、深刻でつらい気持ちになってしまいます。みなさんで、おいしい食事をいただきながら、つらい気持ちを分かち合い、励ましあって問題解決の力を蓄えられたように思います。
症例は、勤医協 婦人科の長島先生が経験した性的虐待でした。
その対処について活発な討論が行われました。私たち大人が、どのような連携をとっていけばいいのか。具体的に何が必要なのかが話し合われました。
札幌市青少年女性活動協会の寺田氏、北海道岩見沢児童相談所の阿部氏、札幌市立大学の宮崎氏、札幌市議会議員の小倉氏、社会福祉法人愛和副祉会の神氏、大須賀氏、後志保健福祉事務所の加倉氏、札幌市精神保健センターの中野氏から様々な提言がありました。北海道新聞の取材記事を見て、子ども支援活動家の伊藤道明氏も初参加してくれました。
今回のゆいネット会議がとても充実した内容となり、参加したみなさんから、このような充実した会議は他には見当たらない、と過分な評価をいただきました。
今後も、現場の問題解決に直結する生きた会議を運営していきたいと思います。
「犯罪から子どもを守る司法面接法の
開発と訓練」プロジェクトから
現在私達の会は、理事の堀本江美先生を中心に、10代の性の健康支援ネットワーク<ゆいネット>を活発に展開させています。
子供が性被害に遭ったときにまずは婦人科医が関わるのですが、迅速、かつ適切に対応することは子供を守る上で非常に重要な課題です。そこで今年度第2回目のゆいネットの会で、子供が被害に遭ったときの面接法である『司法面接』を研究されている、北海道大学大学院文学研究科の上宮愛先生にご講演頂きました。大変参考になるお話でしたので皆様にも知っておいていただきたく、講演内容をまとめて投稿頂きました。
(平成21年12月 守内記)
「犯罪から子どもを守る司法面接法の開発と訓練」プロジェクトから
北海道大学大学院文学研究科 教授 仲 真紀子
北海道大学大学院文学研究科内「司法面接支援室」
JST(独立行政法人 科学技術振興機構)における「犯罪からの子どもの安全」領域の経費支援を受け,2008年10月,「犯罪から子どもを守る司法面接法の開発と訓練」という4年間のプロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトは,事件や事故に遭遇したお子さんから事実をできるだけ多く,正確に聞き出そうという面接法(司法面接法)の開発,基礎研究,そして研修を行うというものです。北海道大学大学院文学研究科内にプロジェクト室として「司法面接支援室」も設置しました。
司法面接とは,子どもを誘導することなく,また,子どもの記憶を汚染することなく,体験した事実をそのまま報告してもらうために開発された手続きです。司法面接は,認知心理学や発達心理学における,子どもの記憶や言語,認知発達の研究をもとに開発されてきました。
面接は,原則として1回だけ,出来事に関する事実の聴取を行います。第1段階は,まず信頼できる関係(ラポール)を築き,わからないこと,覚えていないことは「解らない」と答えること,「本当のこと」だけを話すことなど,子どもに面接のルールを説明します。第2段階では,子ども自身の言葉で自由に報告してもらいます。これを自由報告と呼びます。第3段階では,第2段階の自由報告で出てこなかった情報について,オープン質問(さっきお話してくれた,○○についてもっとお話しして),WH質問(何,誰,どこ等)を用いて面接を行います。最後に,話の内容をニュートラルな事柄に戻し,子どもに話してくれたことを感謝し,面接を終えます。
司法面接の大きな特徴の一つとして,面接を録音,録画するということがあります。録画により正確な記録を行い,子どもが何度も面接を受けなくてもよいようするなど,できる限り子どもの心理的負担を少なくする方法をとります。
本プロジェクトは,研究部門と応用部門からなります。研究部門では,司法面接に必要な記憶やコミュニケーションに関する基礎的な研究を行います。また,国内外での司法面接に関する情報収集,司法面接に関する教材の開発,訓練プログラムの効果測定等も行います。応用部門では,北海道児童相談所,札幌市児童相談所の専門家を対象に年に2回それぞれ4日間(24時間)の研修を行っています。また,毎月定例の司法面接に関する勉強会を専門家の方々と行っています。
今後は,韓国のone-stopセンターのように,一か所で司法面接,法律相談,メディカルチェック,カウンセリング,福祉サービスなどが受けられるような機関の立ち上げも視野に入れながら,研究・実践活動を行っていきたいと考えています。そのためにも児童相談所,警察,小児精神科医,産婦人科医,小児科医,弁護士,臨床心理士の方々との連携を強めていければと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
第3回 医学を志す女性のための
キャリア・シンポジウムに参加して
しまの小児科 島野 由美
10月25日、東京で開催された日本女医会主催のシンポジウム「女性医師が働き続けられる環境の実現に向けて」に参加して来ましたのでご報告します。
私は本年9月、札幌市医師会の代議員会で女性医師の就業支援事業の要望をした経緯から、女性医師の就業・離職についての現況、法整備、各地方の取り組みなどを知る良い機会と考え、出席して参りました。全国から95名の参加があり、時間いっぱい活気ある意見交換がされました。いくつか印象に残った講演について感想を記します。
1)日本女医会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告」から
日本医師会男女共同参画委員でもある、秋葉則子先生によるアンケートの結果報告にあった「医師の勤務や労働に関する法律の十分な理解がない。さらに若い女性医師には非正規雇用の立場の人が多く、そのため出産、育児に伴う法の保護を十分に受けられていない。多くの女性医師は、意思決定に関わる立場、指導的立場に女性が少ないことに問題を感じ、男性中心の医療界の意識改革を希望している。」という文言は、私たちがこれから声を挙げなければいけない率直な意見であると思いました。
2)Website「ママはお医者さん」での試み
ー子育て中女性医師の現場の切実な声
講師の岡崎みさと先生は初期研修終了後に出産し、乳幼児を育てながら三田病院乳腺センターに常勤しておいでです。育児と医師の両立を目指す若い女性医師のためのWebsiteを運営し、その中で挙がった育児中の女性医師の声を紹介されました。育児を終え医師として仕事をしている先輩医師にも是非アクセスしていただき、メンターとしてこれからの若い女性医師を支え、自らのモチベーションの高揚にも役立てて貰いたいと訴えておられました。興味をお持ちの方は、mst3763@yahoo.co.jp にご連絡下さい。
3)Dr.MOM Nursery Schoolを運営して見えてきた保育の課題
講師の池田美智子先生は、私費を投じて、東京都四谷三丁目の近くで女性医師の子供を対象とした保育園を運営されています。月曜から土曜まで最長22時までの保育、看護師常勤の病児保育もあり、3歳以上の園児には英語などの幼児教育もしているという、仕事を続ける女性医師にとっては理想的な保育園です。しかし、対象を女性医師の子供と限定しているため、国や自治体からの補助金はなく、利用者が全額(週6日で20万円)を負担せざるを得ません。この費用を払える女性医師が集中している、都心だから入所希望者も集まり、赤字ながらも経営がなりたっているのかと思いました。地方でも親などのサポートが無けれれば、仕事を継続するためには、保育園+ベビーシッターや家政婦さんを頼む必要があり、個人負担は10数万円に及びます。私は、将来の自分のための投資と思って負担していましたが、安全や安心、継続性といったお金だけではカバーできない保育環境を得るのは、本当に難しいことです。
4)~女性医師を活かせ~医師不足対策の新戦略
地方病院の典型である足利赤十字病院では、地域の基幹病院でありながら一時期大変な医師不足に陥ったそうです。ある女性医師が妊娠中休職せざるを得ない状況になった時、病院は彼女を手放したくなかったので、それまでの就業条件には無かった短時間正規雇用を採用したそうです。以来、病院は女性医師のライフステージに応じて柔軟な対応するようになり、今では十分な数の医師を確保しているとのことでした。法の保護と職場の理解、つまりハード、ソフト両面を保証する経営側の意識は大事なことですが、求められる人材になること、そして働き続けるという本人のモチベーションが何よりも大切なのではないかと思いました。
5)パネルディスカッション
「医師の保育支援のために日本女医会ができること・すべきこと」というテーマで話合われました。参加された厚労省の女性キャリアが『女性医師を活かし、仕事を継続してもらうための行政の役割の認識を新たにした』と発言しておられました。これらの共通の認識をもって、それぞれの立場から内外に強くアピールしていければ、こうしたシンポジウムも成果が期待できるのではないでしょうか。
(平成21年11月記)
平成21年度 ゆいネット札幌会議 第2報
札幌市 苗穂レディスクリニック 堀本 江美
平成21年9月24日に第2回目の会議を開催いたしました。
今回は北海道女性医師の会の守内先生の熱意で、交通費も手弁当のなか、前回の出席者の約半数が参加しました。話題は2つあり、はじめに北海道大学心理学部上宮先生が、司法面接について発表されました。
ここで、司法面接とは何か説明いたします。
北大のプロジェクトのホームページより抜粋すると;
「事件,事故,家庭内暴力,学校でのいじめ等,子どもが被害にあったとき,子どもから出来事についてどのように話を聞くかは,安全確保,調査,再発防止の鍵となります。けれども現実には,子どもから適切に話を聞くことは難しく,そのために事件が再発したり解決がとどこおることも少なくありません。聞き取りが困難である原因のひとつは,子どもの発達レベルに応じた,誘導のない面接法が確立していないことです。『司法面接』と呼ばれる面接法は,司法場面でも活かせる,正確な情報を得ようとする面接法であり,事実をできるだけバイアスのかからない形で聞き出すことを目的としています。」
適切な手法を用いることが、悲惨な事件の解決の力となるのです。
2つ目の話題は.堀本より韓国被害者センター視察報告をさせていただきました。
韓国には、24時間いつでも駆け込むことができる被害者センターがあります。
性被害だけでなくその他の暴力的被害を受けたとされる女性・男性の保護や支援のための施設で、心理的、医療的、司法的ケアを行っているのです。
日本よりずっと進んでいました。
この施設を目の当たりにして、何故このような施設が日本にないのか考えさせられ、皆様にこの施設の必要性や素晴らしさをお話させていただきました。
この被害者センターは、韓国ソウルの郊外にある警察病院の一階にありました。施設内の見学のあと、しばらくして警察病院の産婦人科部長のユンヨンチョン先生(女性医師)が面会してくれました。この事を一つとっても、やはり院内の施設であることを実感します。ユン先生によると、「性犯罪被害者の診察は時間もかかる上、法律問題にまで相談が及ぶため負担が大きかった。このシステムができてとても助かっている。このセンターが発足して、被害者一人に要する診察時間が減った。」とのことです。
自分も産婦人科医師として、被害者の診察を受け持っているので、彼女の話には共感するところが多くありました。被害者が抱える問題はあまりにも大きいため、このようなセンターを利用できれば、何よりも被害者の負担を減らすことができます。是非、日本にも開設したいと熱く語り合いました。今回、初参加したCANの屋代さんは、市内のどの場所に施設を作るのが子どもの負担を減らすか・・と具体的に思いを馳せていました。この会議に参加する方々は皆、困っている子どもを助けたいのです。最後に、ユン先生はこうも言っていました。「産婦人科医がいる場所に、センターを作ることが一番大切よ。」と。
その後の会費制の懇親会では、おいしいお酒で「飲ミニケーション」を致しました。小さなひとつひとつの思いが、重なって束になり、大きく実りつつあると感じています。
第3回目は11月14日を予定しております。
「函館・性と薬物を考える会」の紹介
湯ノ川女性クリニック 小葉松 洋子
「函館・性と薬物を考える会」は現在、渡島桧山地区で、性教育や喫煙薬物防止教育の出前授業を行っているボランティアの会です。この会の生い立ちは、函館市の前教育委員で、児島小児科院長の児島宏典医師が、2000年に函館市で開催された第4回北海道思春期研究会で発表された道南地区の10代の人工妊娠中絶率、性感染症罹患率が、全国平均を大きく上回っていたことにショックを受けたことがきっかけでした。

当時の渡島桧山地区では、主に産婦人科医師が中学や高校に呼ばれて講演会形式の性教育を単発で行い、学校側の取り組みとしては、養護教諭を中心とした性教育授業も行われていたようでしたが、取り組みの程度は学校によって温度差があり、学校側としては講演会に呼ぶ講師の選定、交渉等も、それぞれが独自に試行錯誤しているような状況だったようです。中には「生徒の行儀が悪く、講師の先生に怒られてしまい、次の年もお願いしますとはとても言えない状況です。」という高校の養護教諭もいらっしゃいました。本来は行儀の悪い生徒ほど性教育が必要でしょうし、年に1回の講演会ではどの程度の効果があがっていたのかも微妙でした。
そこで児島宏典医師は教育委員の立場をフルに生かし、医療関係者と学校関係者で性教育の出前授業のボランティアの会を作ろうと呼びかけたのでした。当時産婦人科と小児科から医師6名が参加、その後マンパワー確保のため看護師、助産師等にも呼びかけ、十数人の賛同者がありました。学校の事情を考慮し、学校からの講師依頼はすべてファックス1枚で済むようにし、講師料も原則ボランティア(予算があるので下さるという場合は頂きますが)にし、申し込み用紙を各学校へ配布しました。
また出前授業に出かける意思のある医療関係者には、授業の質の確保と共通の認識で教育をすることを目的に、当時は月1回の研修会を行い(計18回)、より多くの会員が授業をできるように努めました。また会の発足時点に学校側から、性だけではなく喫煙や薬物の防止教育もしてほしいとの要望もあり、主に薬剤師が喫煙薬物防止授業を担当することになりました。
さらに年1回は市民への啓蒙も兼ね、市立函館保健所と共催で全国区の著名な講演者をお呼びして講演会を行っています。特に「夜回り先生」の水谷修先生と京都大学の木原雅子先生の講演は、お二人の強い情熱が伝わってくる感動的な講演会でした。
現在の会員数は医師5名、助産師8名、看護師5名、保健師14名、薬剤師3名、教諭5名、保育士1名、市議会議員1名で計42名という構成です。会員の親睦に飲み食いは欠かせず、総会でも幹事会でも「飲んで食べてしゃべる」が基本です。
函館では2007年に高校生が元同級生から暴行を受け、亡くなるという悲しい悲しい事件がありました。心ある函館の大人たちは、函館が子供達にとって「ここで生まれ育ってよかったな」と思える街になるよう頑張っていると思います。「性と薬物を考える会」の会員達も、一所懸命授業を聞いてくれる子供達から元気をもらいに、出前授業に出かけているのでした。
(平成21年9月記)
平成21年度 ゆいネット札幌会議を開催して
札幌市 苗穂レディスクリニック 堀本 江美
日本女医会「十代の性の健康」支援ネットワーク作り事業・通称ゆいネットについてご報告致します。昨年度より、独立行政法人福祉医療機構の助成金を得て、全国から4地区をモデル地区に選び、親や教師が対応に苦慮する若者の性の問題(妊娠、中絶、レイプ、デートDV、新生児遺棄、STD/AIDS、性犯罪等)について、話合いがもたれました。
この会議は、地域で、様々な十代の性の問題について、適切に速やかに連携し、対応できる子育て支援ネットワークを構築しようとするものです。医療、保健、教育、警察組織を横断した連絡会を結成し、ひいては地域全体の子育て力の向上がねらいです。
昨年に引き続き、全国4か所のモデル地区(札幌、盛岡、名古屋、岡山)、のトップバッターとして、平成21年6月24日、ゆいネット札幌会議を開催いたしました。昨年の会議の評判を聞いた関係者から多数の参加希望があり、30名もの出席者で、活発なやり取りがありました。児童相談所には一時保護の子ども溢れ、定員オーバーの状態であること、性的虐待を受けていると思われるケースも多くいることなど、それぞれの現場の実態を聞く機会を得ました。
北海道警察の性犯罪統括官から「警察、医療、教育の当事者が、お互いの現状を知ることが重要」とのお話には、みなさん納得されていました。貧困や無知、逸脱した性行動、犯罪被害と連鎖する悪循環を、地域の関係者で力を合わせ連携して断ち切っていかなければなりません。
会議終了後に開かれた会費制の懇親会で、今後もこの連携を大切にすることを確認し合いました。
「十代の性の健康」支援ネットワーク(通称 ゆいネット)作り
札幌市 苗穂レディスクリニック 堀本 江美
日本女医会は健やか親子21参加団体として、思春期の若者の健やかな成長を願い「十代の性の健康」を支援して来ました。
2008年より、独立行政法人福祉医療機構より助成を受け「十代の性の健康」支援ネットワーク(通称ゆいネット)作りに取り組むこととなりました。
これは妊娠、中絶、レイプ、デートDV、新生児遺棄、STD/AIDS、性犯罪など、親や教師が対応に苦慮する若者の性の問題に、地域で速やかに連携・対応するネットワークを構築しようとするものです。このために医療、保健、教育、警察など多くの組織を横断した連絡会を作る必要があります。
昨年度は全国4か所のモデル地区(札幌、盛岡、名古屋、岡山)で連絡協議会を開催するとともに、若者の性に関する問題点のヒアリングを行ないました。トップバッターとして、昨年11月23日に札幌で第1回目のゆいネット会議が開かれました。市の関係機関、保健所、児童相談所、教育委員会、警察、産婦人科医会、小児科医会、市会議員、国際医学生連盟日本代表(北大医学生)、北海道女性医師の会、日本女医会より計25名の参加がありました。
3時間に及ぶ会議の間に多くの問題点が浮き上がってきました。特に各機関の話合い・理解が不足していることが顕著で、ゆいネット構築の意義を深く感じました。(詳しくは日本女医会報告書をごらんください。)
今年度も6月24日に札幌医大で連絡会を開催します。会議の結果を今後の全国ネットワーク構築への提言にしたいと願っております。
(2009年5月21日記)
「女性医師・歯科医師懇談会よろずトーク」に参加して
北海道保険医会組織部女性部会の懇談会「よろずトーク」が2月28日、ホテルオークラ札幌において開催されました。
この懇談会は初めての企画で、北海道女性医師の会にもご案内を頂き、他の職種の女性ともお話出来る良いチャンスと考え参加して参りました。今回の参加者は部会長の伴宰子先生を含め歯科医師が7名、私を含め医師は3名、計10名でした。自己紹介からはじまり、いろいろな歯科医師・医師を取り巻く状況に関して話がはずみ、あっという間に2時間が過ぎていきました。
お互いに理解しあう上で最も重要でしたので、最初は主に医科と歯科の勤務環境などにおける差に話題が集中しました。勤務時間や仕事の内容の差の違いのせいなのでしょうか?現在のところ、歯科医師は女性が40−50%を占めるのですが、あまり離職はしていないとのことでした。また一部に歯科医師が不足してる土地もあるようですが、地方の医師不足のようなことは歯科医療の分野ではあまり問題となっていないようです。
高齢者の話題では、認知症の増悪や肺炎予防のためにも、医療・介護現場の方々に口腔ケアの重要性をもっと理解して貰う必要があるという点で皆の意見が一致しました。今後、何らかの形で医療・介護関係者の方々に講演をし、口腔ケアの実地指導を行う機会を設けると良いと考えました。
話は子供の問題にもおよびました。歯科診療でも歯の手入れが全く行われていないことなどで、時に骨折もあるそうですが!児童虐待を見つけることもあるそうです。
話題は尽きなく、また次の機会に・・・ということになりました。
会の終わりに、6年ほど前に保険医会の女性部会を設立されたのが私達の会の前々会長の斯波憲子先生だというお話を伺い、驚きました。深いご縁があるのですね!と言いながらお別れしました。
今回の会に参加して良かったと思います。ざっくばらんにお話できてお互の理解を深めることができました。歯科と医科では種々異なる面もありますが、共通する点が多々あり、これからも何かと協調して活動出来ると考えます。お誘い下さった伴部会長に感謝申し上げます。
(文責 守内)
日本医師会女性医師バンク
2008年6月下旬に札幌で日本医師会 保坂シゲリ先生とお話をする機会がありました。保坂先生は女性医師の代表として日本医師会で男女共同参画委員長・医師再就職支援事業運営委員会副委員長の重責を担っていらっしゃいます。昨年12月に北海道医師会主催の<女性医師の勤務環境の整備に関する講習会>で講演されたことは記憶に新しいところです。
今回、日本医師会の女子医師バンクのご紹介をいただきましたので掲載いたします。
(文責 守内)
■日本医師会女性医師バンク
全国の女性医師を対象とした無料の職業紹介事業です。日本医師会の会員・非会員を問いません。現在までに全国で延べ903施設、2195件の求人登録があり、延べ94件(うち再研修紹介9件)が成立しています。
常勤2割、非常勤・パート8割程度です。1人1人の求職者にはそれぞれ医師が担当コーディネーターとして付き、電話・メール・お手紙でご相談に応じます。
https://www.jmawdbk.med.or.jp
札幌医大学生さん達との懇談会
於:札幌医大講堂 08年4月24日、18時~20時
札幌医大の学生が立ち上げた「医師の勤務環境改善を目指す学生の会」より医師の勤務環境、特に女性医師の働き方の現状を把握したい、また女性医師の会ではどのような活動をしているのかをもっと詳しく知りたいので、懇談会を設けたいとの連絡がありました。
そこで守内会長と新谷が出席して男子を含めた11人の医学部学生との意見交換を行いました。私たちからは北海道女性医師の会の現在の活動内容や、道内各地のネットワークなどを説明しました。
学生さんたちからは現状と進路への不安が語られ、結婚後のことなど様々な質問がありました。勤務環境を改善することで患者さんへよりよい医療を提供したい!という医学生たちの熱い思いに触れ、私たちも今後も協力をしていきたいという思いを強くしました。
(文責 新谷)
“さっぽろ赤ちゃん110番”のご紹介と入会のお誘い
育児不安は多かれ少なかれいずれの母親にもつきまといます。
身近に相談相手を持たぬままに深刻な悩みに陥り,不幸な事件への道をたどる場合も少なくありません。そこまで追い込まれないうちに母親が気軽に相談できるようにと設立されました。
平日毎日2名のカウンセラーが相談を受けるほか土曜13:30~15:30までドクター相談を行ってます。会員を募集しています。
(当会会員 中根敏得先生より)
詳しくはグーグルやヤフーの検索サイトに「さっぽろ赤ちゃん110番」と入力して検索して下さい。
北海道女性医師の会・日本女医会北海道支部刊行
下記の本が残部あと僅かになりました。
「北の命を抱きしめて」-北海道女性医師のあゆみ-
(北海道女性医師史編纂刊行委員会)
北海道は公許女医第1号となった荻野吟子が開業した土地です。波乱に満ちた生涯を送った吟子と彼女に続く女性医師たちが北海道の大きく厳しい自然の中で、いかに医療に携わったのかを知ることは女性医師のみならず働く女性達にとって大きな励みとなるでしょう。
また、21世紀の女性問題への展望を見出す糸口ともなるに違いありません。・・・・で始まるこの本を読んでみませんか・・・
旭川医科大学 二輪草センター
(復職・子育て・介護支援センター)
復職支援研修担当医師 堀 仁子
平成19年10月1日に旭川医科大学病院に復職・子育て・介護支援センター(二輪草センター)が開設されました。
これは文部科学省の「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」に採択された『育児と介護をささえるオールホスピタル計画―5段階教育プログラム「二輪草プラン」で安心復職―』を実施するために設置されたものです。
センターの仕事はおもに2つの部門から構成されています。1つは復職支援研修部門で、出産、育児および介護のために休業中および休業予定の医師及び看護師等に、潜在人材登録をしてもらい、復職に必要な情報を提供し自学支援を推進後、現場復帰を図ります。
医師の場合、復職を希望する各所属科の研修プログラムをe-learningシステムやDVDなどで自学学習後、計5段階の実地復帰へ向けたプログラムを経て円滑な復職への支援をします。
看護師の場合も、看護部の協力を得て当院での勤務が初めての場合と過去に勤務経験のある両者に対し各々復職プログラムを準備しています。
センターの仕事のもう1つの役割は、子育て・介護支援部門です。看護師の場合、子供の急な発熱時などに備えたバックアップナースシステム、医師の場合は、代替医師が急に確保できないことが多いため、仕事の引継ぎまでの間、保育士の資格を持つコーディネーターも雇用しているセンターが病児一時預かり室の役割も果たします。
他に旭川市の子育て支援制度・介護施設との連携窓口としての役割も担っています。
また、すでに職員の悩み相談カウンセリング室として利用されつつあり、とくに育児と仕事のバランスに悩んだり、他のスタッフに気兼ねしたりしながら現場で働いている声を聞くたびに、本センターの役割の重要性を感じています。
■二輪草プランの詳細はこちら
旭川医科大学:二輪草センター
本センターはセンター長、副センター長の他、センター職員は私を含め専属で3名が勤務しております。また、二輪草プラン推進委員会を月1回開き、各科の医師、看護部、事務と熱い議論を交わしています。病院が一丸となって復職・子育て・介護のサポート体制を整えていくことが、最終的にすべての医師・看護師等にとっても働きやすい病院へとなることを願って日々センターは努力しております。
さあ、あなたも旭川医大病院で復職してみませんか?
女性医師と女子学生のおしゃべりフォーラム
1月12日に札幌医科大学にて、2年目の学生さんの伊藤友紀さんが中心になって女性医師と女子学生の懇談会が開かれました。
ご案内を頂き<学生さんが主催の懇談会とは!今の学生さんはしっかりしてる!>と驚きながら出席してみました。札幌医大だけではなく北大の学生さんも出席され、熱気むんむん、和気あいあいの会でした。学生さんたちが頑張って立派な会を作り上げられたのには感心しました。
そのときの報告書をいただきましたのでご一読下さい。
(文責 守内)
報告書[PDF]
女性医師の勤務環境の整備に関する講習会
平成19年12月9日北海道医師会主催の上記の会に出席。
大阪厚生年金病院院長の清野佳紀先生の<働きやすい病院づくりー子育て支援を中心としてー>の講演に感銘しました。
清野先生の経営革新に関しては、日経スペシャル「ガイアの夜明け」1月9日放送「医者がいない!?~“医療難民”を防げ~」で放映されたので皆様もご存知と思います。
またタケダ製薬の小冊子IRYU-TION(2007年9)に<女性医師と職場環境ー女性医師が生涯働きつづけられるためにー>を寄稿されています。
(文責 守内)
以下のURLでもご覧になれます。
働きやすい病院研究会-レポート・コラム-
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