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講演録

:北海道女性医師の会が開催した講演会のご紹介です。
 

講演会
「デートDV講演」報告書

勤医協札幌病院 長島 香

NPOピーチハウスはデートDV予防講座を若者向け、教師・大人向け(支援者となる)に道内で展開している。実際的でわかり易く、しかも温かい語りは子どもたちの共感を呼んでいる。DVが当事者だけでなく多くの人を巻き込む健康被害をおこすこと、10人に1人の女性がDVによる不安を感じているということから予防できるものならこれが一番大切だと思う。この日は志堅原郁子さんに教師・大人向けの話をしてもらった。

  1. DVは大人だけではなく親密な関係となった思春期の子どもたちの間にも起こる。これをデートDVという。

  2. DVもデートDVも「強者と弱者間の力と支配」によっておきる。喧嘩ではない(喧嘩は対等にやりあう)、加害者と被害者が存在する犯罪行為

  3. 犯罪なのにDV防止法は婚姻関係の夫婦にしか適応とならない。被害者が守られず「別れたらいいでしょう」と軽くみられがち。時に被害者は恋人・元彼に殺される。

  4. デートDVの実際例をaware作成のDVDで視聴した。
    登場してくる高校生カップルがデートDVの加害者・被害者となっていくわかりやすいドラマだった。ドラマの後に精神的・肉体的・性的DVのシーンをとりあげ解説が入る。
    またDVの背景には暴力容認の社会、「男は強く、たくましく」「女はつつましく、従順で」という行動・感情におけるジェンダーの刷り込みがあるということの説明があった。

  5. 大人がDV関係になっている被害者にするべきこと
    根気よく話を聴いて、本人が自分の状況を自ら「気づく」まで待つ。心身の危険が迫ったときは具体的にこうしようという手段を話しておく。被害者の長所をほめる。社会は当事者だけの狭いものではなく他にも色んな関わりがあること、将来にも目を向けるようにする。

  6. 大人がDV関係になっている被害者にしてはいけないこと
    我慢させる、批判、非難する、怒鳴る、罰する、最後の条件を出す(例えば、彼と別れないならこの家から出て行け)若い人をコントロール(支配)する、加害者のことを悪く言う、ただ「別れなさい」と言う。

「うーん、これはやってしまうな」と思いました。自分自身が育ってきた過程には支配と暴力が溢れていたから。でも「あなたには力がある、きっと乗り越えられる」と言ってもらえたらよかっただろうなあ。これ患者さんの治療にも生かされるコミュニケーションです。 最近、中高年のご夫婦が散歩しているのをよく見かけます。野球帽をかぶった夫が妻の40cmほど前を歩いているのを見ると「あなたたちはDV関係ではありませんか?」と自然に思います。将来にむけてDV予防講座がこれから増えていって欲しいなあと思いました。 自分の子どもたちの学校で講座を開いて欲しいという会員の方がおられましたら。「ピーチハウス 札幌」HP検索してみて下さい。                   


第5回 医学生と医師のおしゃべりフォーラム

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札幌医科大学 5年 伊藤友紀

日時:2011年1月15日(土)14:00~16:00
場所:札幌医科大学

《開催趣旨》

kouen 女性医師の占める割合が増えてきている今、女性医師の働く環境や家庭生活との両立についてみんなで考えていくことが大切だと思い、「女性医師と医学生のおしゃべりフォーラム」として昨年1月までに4回のフォーラムを開いてきました。しかし、女性に限らずすべての医師・医学生が医師の働く環境について考えることが必要であると考え、今回「医学生と医師のおしゃべりフォーラム」と改題しました。また、医師や医学生が労働環境について考えることは、現在の日本の医療をよりよいものにすることに繋がると考えます。
実際には、医学生が将来に対する疑問や不安、悩みを打ち明ける場が少なく、将来どのように働くかイメージしにくいのではないかと感じます。
このフォーラムで医学生が自由に医師と話をして、自分たちの将来を考え、医師として働くことについての疑問や不安を共有できればと思います。

《企画内容報告》

(1)開会挨拶
① 実行委員会代表 伊藤友紀
② 北海道女性医師の会会長 守内順子先生

(2)講演
島本 和明 先生 (札幌医科大学 学長・理事長)
鈴木 主幹 様(北海道地域医師確保推進室)
川名 瞳 先生(勤医協中央病院 初期研修医)
高橋 素子 先生(札幌医科大学 医化学講座)
遠藤 香織 先生(北海道大学病院 整形外科)
安藤 敬子 先生 (市立旭川病院 耳鼻咽喉科)

kouen 最初に、札幌医科大学学長・理事長である島本先生にご講演をしていただきました。地域医療の崩壊、研修医や大学院生といった若手医師の身分保障の問題、24時間体制の保育所の整備計画、現状での医師の労働環境の問題、休業中の医師の復職支援の必要性について、幅広くお話してくださり、後のパネルディスカッションにも繋がったと思います。

北海道地域医師確保推進室からは鈴木様にお越しいただき、離職防止、復職支援を図る必要性について考えることができました。

続いて川名先生からは仕事と家庭との両立について、家事は役割分担をしたり家電を利用するなどのアドバイスをいただきました。キャリアプランは長期的な展望を持ち優先順位をつけることが大切ということでした。

基礎研究に興味を持つ学生もいることから、医化学講座の高橋先生にもお話を頂きました。現状として、大学に残る人が減った分、基礎に入る人も減少したそうです。今女性医師が多いのは当たり前のことであり、積極的に活躍してほしいというメッセージをいただきました。

遠藤先生からは、学生時代の取り組みから今後の展望、人生選びについてまで、幅広くお話していただきました。私たち学生にとって、とても刺激を受ける内容でした。労働条件は男女共通に影響を及ぼすものであることや、現場の声を医療政策へ反映させることの必要性などを再認識させられました。

最後に、安藤先生からは「医師を辞めないでほしい、プロ意識を持ってほしい」という心のこもった言葉をいただきました。安藤先生のメッセージは、多くの学生に響いたようです。また、保育所の質(24時間、近くにあること)を高める必要性についてもお話していただきました。職場・育児環境に恵まれなかった医師の辛い気持ちや意見を聞くことも必要であるということでした。

(3)パネルディスカッション
kouenパネルディスカッションは、今年初の試みです。島本先生、安藤先生、高橋先生、遠藤先生、川名先生にパネラーを引き受けていただきました。
議論が大変盛り上がり、会場全体で医師の労働環境に対する問題意識を持つことが出来たのは大きな成果でした。その分、1時間では時間が足りなかったという意見が多かったです。以下に、参加者から寄せられたディスカッションテーマの希望と議論内容の抜粋を掲載します。

【寄せられたテーマ】

a.研修について[9]

  • 子供がいる状態で(妊婦でも)初期研修をすることは可能か。
  • 学生が研修病院を決める際、女性医師の雇用(出産のことも含む)などに関して情報提供してくれる機関や相談窓口はあるのか。
  • 女性はどのような視点から研修先を決めればよいのか。
  • 道外へ出たいが、情報ゼロの状態からどのように病院を選べばいいか。

b.科の選択について[11]

  • 女性は科の選択について、目に見えない縛り(きつい科にはいけない)があるか。
  • 外科に進みたいという気持ちは確かにあるが、子供のこと家庭のことを考えると気が退けてしまう。今後こういった状況は改善されるか。やはり妥協しなければいけないか。

c.仕事の継続について[11]

  • 出産をした後に復帰するまでの間、パートで繋ぐことは可能か。6年間などの長期間は可能か。
  • 女性医師が仕事を継続できる環境整備が足りないと思うがどうか。
  • 何が課題か。

d.基礎研究について[4]

  • 女性にとって働きやすい場所か。
  • なぜはじめから基礎を選択されたのか。(高橋先生)基礎も臨床もどちらも興味がある。
  • 基礎研究の充実なくして臨床の発展はない。基礎に進んだ場合の将来について、生活の保障など。

e.家事・子育てについて[7]

  • 子供を作ることにはためらいを感じるか。

f.その他

  • 北海道の医療を良くするにはどのようにすればいいのかなどの具体的な対策。
  • 女性医師が増えているのは医師不足の大きな要因の1つであると思う。だから女性医師がもっと活躍できるような環境整備が政治なり行政なりの責務だと思うがどうか。
  • 女性医師の離職の理由はやはり出産、子育てがほとんどなのか。男性医師の離職はほほとんどないのか。
  • 整形外科はなかなか忙しい科だと思うが、女性として将来のことを考えた時、迷いはなかったか。
  • 地域医療、家庭医療。
  • 結婚をするかしないか。出会いの場に行く機会がないか。
  • 途中で科を変えたりしてはいけないか。

【議論内容】

外科について

  • 術前・術後管理、急変があり、計画を立てづらい。しかし、女性として細かい作業が得意なところは生かせる。
  • アメリカでは時間で切る交代制を取り入れているが。当直明けはきちんと休む。
  • 患者さんが主治医制に馴染み過ぎている。患者さんに対する意識改革も必要ではないか。

基礎研究について

  • 自己責任、継続することの大切さ。
  • 臨床研修制度によって、基礎を目指す人が減少。

勤務環境について

  • 困った時に助けてくれる口を多く持つことの大切さ。
  • 働き続けることが当たり前になっているが、精神論で語ってしまってよいのか。これが伝統なのか。制度を変えていかなくてはならない。
  • 患者も変わってきた。マスコミを利用することも必要。
  • 環境整備について、良くするにはどうしたらよいのか、具体的に考えなければならない。
  • 体制を変えていくことも必要。


《アンケート結果より、全体を通して》

アンケートの結果から、今回のフォーラムではみんなで問題意識を持てたということが伝わってきます。
普段聴く機会の少ない基礎研究の話や医師を辞めないでほしいというメッセージを聞くことができて良かった、制度として変えていかなければならないことが多くあることを認識した、労働環境や自らのキャリアについて考える機会になったなど、たくさんの感想を学生からもらいました。中には、仕事を辞めて辛い時期を過ごした経験のある女性医師の話を聞きたいという意見がありました。職場や育児の環境に恵まれなかった医師の意見を聞くことは、現状を知る手立てであり、今後医師の勤務環境を改善していく上で非常に重要になってくると考えます。

パネルディスカッションの後半の議論の中で、日本の医師は無理をしてでも働き続けることが伝統的に当たり前になってしまっていることを痛感しました。体力や職場の環境に恵まれた医師は、無理をしてでも働き続けることが可能かもしれませんが、実際にはそうでない医師も多くいるのが現実です。また、医療の質を低下させることに繋がることが何よりも問題であると考えます。この厳しい現状の中であっても頑張って働き続けよう、という気持ちも大事かもしれませんが、現状を世間に知ってもらい、根本的に制度を変えていくことが必要であると考えられます。これに関連して、働き続けることについての低学年からの大学教育も強化する必要があると思います。

常勤医として働くために必要な制度として、特に学生で24時間保育や休暇を求めていることがわかりました。これらは早急に整えられなければならない制度であると思います。制度を変えていくということは、決して簡単なことではないですが、学生の内から勤務環境についての現状を知り、現場の声を行政や世間に届けていくことが出来ればと思います。



第3回女性医師の今 報告書

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北海道大学病院 長井 桂

平成22年12月3日、北海道大学病院 管理棟2階の第一ゼミナール室にて「第3回女性医師の今」が開催されました。地域医療崩壊や女性医師問題のことは、皆がすでに認識していると考えられ、いまは女性医師が生き生きと仕事を続けていくために、具体的にどのようにしたら良いのかを話合いました。今回は座談会形式で、「より良い医療を作るために 」と題し、以下のような様々な立場の方々をパネリストとしてお招きしました。
  • 北大卒後臨床研修センター 副センター長 宮田靖志先生
  • 札幌東徳州会病院院長 清水洋三先生
  • 北大耳鼻咽喉科 打田葉子先生
  • 女性医師等就労支援事業 清水薫子先生
  • 卒後臨床研修医 清水茜弥先生
  • 北大医学部学生 柴田美音さん 宮本國之君

kouen まず、女性医師として、母親としてどのように研修をしてきたかを打田葉子先生が具体的な勤務状況を交えてお話下さいました。医局や研修先病院で負担軽減をしてもらいながら働けるシステムを作ってくれたのが、いままで続けてこられた要因として大きかったようです。また、柴田美音さんは将来的に自分が子供をもった場合に仕事を続けられるのか不安があるという率直な意見がだされました。清水茜弥先生からはいろいろなシステムがあるのはありがたいが、時短勤務などを選択することによって、どうしても他の人に迷惑をかけてしまうという思いが強く、結局はシステムを利用することなく辞めてしまう可能性もあるという意見が聞かれました。

kouen 宮田先生からは北大卒後臨床研修センターとして、実際に子供がいる研修医の先生が1名プログラムから脱落した経験があり、その際に海外の勤務体制に興味を持ったことをお話されました。札幌東徳州会病院院長の清水洋三先生は、病院経営者として、女性に限らず様々な理由でフルタイムの勤務をできない人に様々な勤務体制を提供しているとの取り組みをお話してくださいました。時短勤務、給料削減などのバランスをとって、フルタイムの人も不満がでないように配慮しているとのことでした。女性医師等就労支援事業の清水薫子先生は、病児後保育の検討など来年度から稼働予定の北大内での取り組みについてお話がありました。現在他大学の情報も調査しながら準備中ということです。

kouen 宮本國之君は医学概論の授業の中で、医師不足をテーマにして勉強し、女性医師問題、地域医療問題にも興味を持ったことを話してくれました。座談会は後半には打ち解けた雰囲気で、皆が積極的に発言していただいたこともありあっと言う間の1時間半でした。様々な立場の人に来ていただいたことにより、ディスカッションに広がりがありました。

休憩の後、「意見・質問コーナー」と題して無記名で質問票に記入してもらい、司会が回答者を指名するという時間を設けました。
  • 外科を志しているが、子供を持ちながらどうしたら一生の仕事にできるのか

  • 自分の生活を大事にしたいと思うが、どこまでが「わがまま」でどこまでが「権利」なのか聞いてみたい

  • 女性でもできそうな科を選ぶのか、自分を受け入れてくれる科を選ぶのか迷う
などの質問・意見に対し、ベテランの先生からの明るく、力強い助言が会場を沸かせていました。 集まってくださった人々が、時間が経つにつれ参加して良かったという充実した気分になったという意見を下さって、このような機会に参加することの意義を改めて感じました。


講演会『子宮頸がんは予防できる』報告書

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湯の川女性クリニック 小葉松洋子

kouen 平成21年12月に日本でも子宮頸がんワクチンが接種可能になったことをうけて、広く市民の皆様にもこのワクチンについて理解して頂くための講演会を平成22年6月26日に開催しました。講師として北海道対がん協会より若松邦子保健師から、子宮頸がん検診の最近の状況を、函館湯の川女性クリニック小葉松洋子医師からは、子宮頸がんの検診、治療にたずさわってきた経験を、そして札幌苗穂レディースクリニック堀本江美医師からは、実際のワクチン接種にあたってよく聞かれる質問を講演頂きました。
当日の内容をポイント毎にまとめました。

  • 現在北海道では(日本全体でも)若い女性の子宮頸がんが確実に増加している。原因は性経験の若年化と、低いがん検診の受診率である。

  • 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスの感染であるが、このウイルスは皮膚等に誰もが感染している可能性があるウイルスである。これが性交渉が始まることで子宮頸部に感染し、感染が持続すると細胞に異常が起こり、がんへと進んで行く。がん検診を定期的に受けていると、ウイルス感染や細胞ががんになる前の異常を発見できるので、子宮頸がんになることを予防できるが、現在この病気が増加している20代、30代の女性のがん検診受診率は非常に低い。

  • 性感染症と子宮頸がんの決定的違いは、性感染症は処女と童貞のカップルでは理論上ありえないが、純潔なカップルでもパピローマウイルスに感染することはありえる。したがって<純潔教育をしっかり守れば子宮頸がんにならない>という考えは間違いである。

  • 子宮頸がんワクチンは、自然には免疫がつきにくいヒトパピローマウイルスに対する抗体を作り、ウイルスが侵入しても感染しないようにするワクチンである。ただヒトパピローマウイルスには非常に多くのタイプがあり、現在接種されているワクチンは、子宮頸がんの原因となっているウイルスタイプの70%程度に有効と考えられている。

  • ワクチンはあくまでも感染の予防が目的のため、既にウイルスに感染している人への治療的な効果はない。しかし、性交渉がある限り新たなウイルスの侵入の可能性は常にあるので、日本産婦人科学会では45歳までの女性ならばワクチン接種を推奨している。

  • 公費負担の接種で小中学生が対象になっているのは、性交渉がまだ無く、抗体のできやすい年齢であり、この年齢で免疫を獲得すれば、若い女性の子宮頸がんが減ることは間違いないからである。

  • 任意で接種する場合、費用は1回15,000円以上で3回接種が必要なので、計45,000円以上必要である。

  • ワクチンの副反応は接種部位の筋肉痛が多く、それ以外の副反応は現在日本で使用されている他のワクチンと同程度である。

kouen 子宮頸がんは性交渉と関連する病気のため、性的にだらしない女性がなるというような間違った理解をしている方もいるかもしれません。
今回の講演会を通じ、子宮頸がんという病気を正しく理解してもらい、たとえワクチン接種をしなくても、がん検診をきちんと受診するだけでも病気の予防は可能だということを理解して頂けたなら、講演会を開催した甲斐があります。
幸いなことに、厚生労働省の来年度の概算要求にこのワクチンの公費接種の費用が盛り込まれたというニュースが流れてきました。

平成22年9月記


「このままでいいの?DVと医療」講演会報告

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道北勤医協一条クリニック 佐久間文子

kouen 底冷えのする2月13日、「DVと医療」をテーマにした市民講演会が札幌駅に面する佐藤水産文化ホールで開催されました。

寒さの中、宣伝も不十分だったにもかかわらず50名ほどの聴衆の参加がありました。講師は大阪で全国初の民間組織「性暴力救援センター・大阪(SACHICO)」を開設準備中の産婦人科医 加藤治子さんと、札幌で女性の人権ネットワーク事務局「女のスペース・おん」代表の近藤恵子さん。

DV被害者支援活動が民間の支援団体主導で行われるなか、DV法などが設立され行政もやっと重い腰を上げ各関連機関に対しパンフの配布や講演会等の啓蒙を始めました。北海道でも医療機関に対しDV対応マニュアルなどを3年前に配布しましたが、医療機関からの道立女性相談援助センターに寄せられた相談件数は全体の2%(平成20年度 DV相談件数1597件中31件)にも満たない状況です。医療機関はDV被害者の第一発見者と言われているにもかかわらず、なぜなのだろう?どうすればいいのだろう?これが、この講演会の企画動機でした。

kouen 加藤さんは大阪の阪南中央病院で30年間産婦人科医師として働くなかで性暴力やDVなどの問題に取り組んできましたが、この蓄積のもとに日本初の民間ワンストップセンターとしての機能を持つ「性暴力救援センター・大阪」(Sexual  Assault Crisis Healing Intervention Center Osaka 略してSACHICO)開設に向けて活動しておられました。(2010年4月にオープン)先進モデルとなった韓国のワンストップセンターは性暴力被害者が被害直後から迅速に相談や医療、捜査や法律支援などのサービスが総合的に受けられ、全国の公立病院や大学病院に配置されています。SACHICOも被害直後からの総合支援を目指し、阪南中央病院内に設立され他の関連機関との「女性の安全と医療支援ネット」を構築する予定との事。全ては、被害を受けた女性が出来るだけ早く安心できる場所で総合的な支援が受けられ回復する事を願うため。


kouen 一方、近藤さんは女性の人権活動家として早くからDVの問題に取り組み、1993年に札幌で女性の情報とパワーをネットワークする拠点「女のスペース・おん」を開設しました。1997年には民間シェルターである「駆け込みシェルター」を開設し、DV被害にあった女性や子どもたちの安全と心身の傷を癒し、自分自身を取り戻し新しい人生を始めるためのサポートを行ってきました。その中ですさまじい被害実態を明らかにし社会的支援の遅れなどを指摘し、DV法の制定や改定に力を注いできました。現在はさらに運動を発展させ、性暴力をなくし被害回復をはかるための法律「性暴力禁止法」を作るため全国のネットワーク作りに奔走しています。講演では、性暴力被害の実態や医療機関の役割や連携について具体的なコメントを頂きました。


講演後は質問が途切れることなく続き、うれしい悲鳴でした。本当に関心のある人
たちが聞いて下さり、それで医療の現場が少しでも変わっていけばと願いました。


講演会
「子どもの安全を守る多職種連携:司法面接と医療」報告書

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本間内科医院 澤田香織

平成22年4月17日北海道女性医師の会総会の後、“子供の安全をまもる多職種連携:司法面接と医療”というタイトルで北海道大学 大学院文学研究科 仲真紀子教授より講演をいただきました。

kouen まず子供の性的被害に関して多くの問題点が指摘されました。子供は大人に何度も質問され、聞かれるたびに答えが変わっていくことがあるために、被害者でありながらうそつき呼ばわりされて二次被害にあっている。
<こどもの証言は信頼できないか?>
この問いに対して、以下のように沢山の考えるべき課題があるとのお話がありました。


(1)面接そのものが不適切であることが多い。
大人による誘導:「AかBか」、「はい いいえ」のClosedな質問を繰り返す。
そして圧力:「大変なことになっちゃうよ」。
さらに言い換え:「ぶつかった」を「さわられたの?たたかれたの?」と聞く。
こういった過程で、しらずしらずに大人が求める答えに変わっていくというのである。
子供が、情報をださない(答えない、知らない、わからない)脱線(全く違う話なる)抵抗(話したくない、マイクを引き抜く)否認(そんことなかった、うそだった)となると、大人は、ますます「話さないと大変なことになるよ」と圧力をかけることとなる。したがって面接者は落ち着いて情報収集することが求められる。

(2)子供たちは自発的には話してくれない。
3〜6歳では50%以下、7〜10歳では60〜70%、11〜14歳では60〜80%程度である。
イスラエルの調査では、家族が加害者の時はさらに低く50%程度であり、特に性的虐待の時は20%と非常に低い。

(3)子供の記憶能力の問題。
起きたことの記憶、特に時間、人物、感情などは低年齢になるほど非常に残りにくいといわれる。しかも被暗示性が強く、大人や権威のある人を信用し受け入れて、記憶を作り出してしまう。
英国の面接ガイドラインでは、こどもの司法面接は、自由に話させるが原則として1回のみとする。カウンセリングはせず、面接時間は年齢×5分、1対1で行うこと(他の職種はバックミラーで見ている)とされている。


最期に、実際の面接の手順を示されその意義についても触れて下さいました。面接の他、補強的証拠(写真、生物学的証拠メール、携帯電話履歴、日記など)が重要であること、医学的証拠(精液、性器の傷、身体の傷)が残っている確率は3%くらいと低いが、診察時に子供が初めて話し始めることがあること、また検査を受けることで、STD、HIV、妊娠などの心配を取り除き、「決してあなたは悪くない、汚れた体になったわけではない」というメッセージを伝えることが出来る、という意味でも重要であることが話されました。被害者の傷ついた心に寄り添い、きめ細やかな配慮を感じさせながら、わかりやすくお教えいただきました。司法面接のありかたを学び、今後私たちも何らかの形で支援者になっていきたいという思いを深めました。

懇親会の場でも話題になりましたが、子どもだけに限らず大人も、司法という場面では被害者は暗示に陥りやすいため、被害者(特に弱者)に対しては面接技術も含めて特別な配慮が必要と感じました。
大変貴重なお話を伺うことができ、出席者一同皆感激しておりました。
今後の仲真紀子先生のご健勝、ご研究のますますの発展をお祈り申し上げ、講演会の報告者とさせていただきます。     


第4回 女性医師と医学生のおしゃべりフォーラム

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札幌医科大学 4年 伊藤友紀

日時:2010年1月9日(土)13:00~16:00
場所:札幌医科大学

《開催趣旨》

kouen 女性医師の占める割合が増えてきている今、女性医師の働く環境や家庭生活との両立についてみんなで考えていくことが大切だと思います。性別に関わらずすべての医師・医学生が女性医師の働く環境について考えることは、現在の日本の医療をよりよいものにすることに繋がると考えます。
しかし、医学生が将来に対する疑問や不安、悩みを打ち明ける場があまりにも少なく、将来どのように働くかイメージしにくいのではないかと感じています。医学生が自由に医師と話をして、自分たちの将来を考え、医師として働くことについての疑問や不安を共有できればと思います。

《企画内容報告》

(1)開会挨拶
① 実行委員会代表 伊藤友紀
② 北海道女性医師の会会長 守内順子先生
③ 北海道医師会理事 藤井美穂先生

(2)講演
今回も前回に引き続き、様々な年代、性別、立場にある5名の医師に講演をしていただきました。医師としての働き方、家庭との両立について様々な立場からお話を聴くことができました。先生方の講演によって、参考になったというだけでなく、元気づけられたという声もたくさん聞かれました。

① 別役智子先生(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学准教授)
kouen 留学をされた経験など、幅広く活躍されている様子を話していただきました。その傍らでご家族をとても大切にしている様子が伝わってきて、バランスよく働くことについて、とても参考になりました。

② 永井りつ子先生(滝川中央病院)
以前沖縄で働いていたときに子育てと仕事との両立で悩んだという経験も含めて話してくださいました。子育てをしながら働くために、周囲の理解がいかに大切か改めて考えることもできました。

③ 滝本可奈子先生(勤医協中央病院)
子育てをしながらの研修医生活についてお話しをしてくださいました。他の研修医から遅れをとる不安があっても、職場や家族の支えにより働くことができるということで、勇気をもらうことができました。

④ 蕨玲子先生(札幌医科大学救急・集中治療部)
救急に興味を持っていた学生が何人かいたので、非常に元気づけられた学生も多かったのではないかと思います。職場の様子を中心に話していただいて、とても参考になりました。

⑤ 藤宮峯子先生(札幌医科大学解剖学第二講座教授)
kouen 女性としてフルコースの人生を楽しむという、思わず聴き入ってしまうような素晴らしいお話をしてくださいました。質問の時間も長くとり、学生からは子育てについての質問が多く出ました。先生のお話により元気づけられた参加者もたくさんいたようです。

(3)参加医師、学生自己紹介

(4)フリートーク
いくつかのグループに分かれて懇談を行いました。途中で席替えも行ったので、より多くの先生から参考になるお話を聴けたと思います。時間が足りないと思うほど有意義な時間でした。講演では聴けなかったこともこのフリートークでざっくばらんに話すことができたようで、やはりこのような機会は大切であると感じました。辞めてしまう医師がいることに問題意識を持った学生もおり、心強く思ったとともに、もっと多くの学生にも現状について、将来働く環境について考えてもらえればと思いました。
また、フリートークだけでなく、テーマが与えられたうえでのディスカッションも行ってみたいという意見や、男性の考えも聞きたいという意見があったので、今後の参考にしようと思います。

(5)閉会挨拶 長島香先生(勤医協中央病院産婦人科)



『女性医師の今・・・そしてこれからを考える』を開催して

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北海道女性医師の会・理事 別役智子(北海道大学・第1内科)

平成21年12月11日(金)18時から、北大生協医学部食堂において医学生、研修医、医師を対象に、北海道女性医師の会が主催する会、「女性医師の今・・・そしてこれからを考える」が開かれました。本会は道内3大学医学部の女子医学生との交流の機会を作るという目的ではじまり、北大では2回目の開催になりました。

kouen 今回は、札幌医大第二講座 永石歓和先生と旭川市立病院耳鼻咽喉科の安藤敬子先生に御講演をいただきました。
永石歓和先生からは、消化器臨床医としてスタートされ、米国留学中に出産を経験されたこと、帰国後の基礎研究者としての仕事と育児のバランスの問題などお話がありました。お若いながら多彩な経験をお持ちで、現在進行形で前向きに頑張っていらっしゃるお話を伺うことができました。学生にはあこがれを抱かせてくれて、現職の医師たちにも共感することもたくさんありました。

kouen 安藤敬子先生は、昭和51年から旭川市立病院にお勤めでいらっしゃる大先輩です。時代背景からも、どのような御苦労があったかをお察しするのも僭越なことです。先生の優しい口調からは、使命感をもってお仕事を続けてこられた真摯なお姿を垣間見ることができました。「辞めないで続けること」という言葉の重みがずっしりと伝わってまいりました。

kouen 御講演の後、女性医師の会のメンバーがそれぞれの近況報告、活動報告、後輩へのメッセージを熱く語られ、会を盛り上げてくださいました。北海道の女性医師が元気に仕事を続けるために、このような世代、大学、専門領域を超えた交流の活動が意義あるものと再認識いたしました。


第5回 在宅高齢者(嚥下障害、胃瘻造設者)の
 栄養管理講習会を開催して

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平成21年8月8日、札幌医科大学基礎研究棟で在宅高齢者栄養管理講習会が行われました。この会は高齢化社会を迎えて嚥下障害をきたす方々が年々増加しているため、医療者やヘルパー、人工栄養管理の患者さんを介護されている一般の方々を対象として日本女医会が全国で行っているものです。第5回となる本会は、日本女医会ならびに当会の理事をされている北佑会病院の濱田啓子先生が主催されました。

kouen 日本女医会長寿福祉社会福祉委員会委員長で並木病院院長、藤田保健衛生大学名誉教授の山本纊子先生のご挨拶ののち、札幌医大耳鼻咽喉科の才川悦子先生から嚥下障害の基礎知識、検査についてのお話しがありました。その後山本纊子先生からは嚥下障害をおこす疾患・合併症としてパーキンソン病や脳血管疾患、北海道大学病院リハビリテーション科の濱田有紀先生からはリハビリテーションの実際、北佑会病院の栄養士石井いつみさんからは食べやすい食品の形態やゼラチンなどを使う食事の工夫に関してお話いただきました。

次に、長沼町立病院院長の倉敏郎先生の胃瘻・腸瘻の実際についての講演では、まだ胃瘻が一般的に知られていないころから取り組んでこられた豊富なご経験をもとに、わかりやすいお話をいただきました。


kouen 日本女医会作成の嚥下障害についてのDVDを視聴したあと、札幌医大のNST(栄養サポートチーム、Nutrition Support Team)委員の看護師の木戸孝栄さんから病棟での栄養管理の実際について、皮膚・排泄ケア認定看護師の角谷真由美さんからは胃瘻周囲のスキンケアについてのお話があり、そのあと4班にわかれて、栄養補助食品、栄養剤、胃瘻や皮膚ケアなど実際に講師の説明を受けながら実習をおこないました。


医師、看護師、介護施設職員、栄養士、言語聴覚士、学生さん、一般の方々と広く多職種から100名近く参加いただき、盛会のうち無事に終了しました。参加された方々からは日常生活や日々の診療で役立つ内容であったと嬉しい感想が寄せられました。
夏休みのお忙しい中ご参加くださった皆様、講師の先生方、スタッフとして準備をして下さった北佑会神経内科病院、札幌医大NST委員、言語聴覚士の皆様、どうもありがとうございました。

文責 札幌医大耳鼻科 新谷朋子、平成21年9月

「女性医師支援から職員のワークライフバランスへ」
 講演会報告書

去る7月26日午前10時より、グランドホテルにて北海道女性医師の会主催による大阪厚生年金病院院長の清野佳紀先生の講演会が開かれました。日曜の朝の講演会にもかかわらず、50名近くの方がきてくださり、「女性医師支援から職員のワークライフバランスへ」というテーマで清野先生の熱意あふれる講演にききいりました。

kouen 清野先生はまず最近の女性医師の増加の現状、その女性医師たちが子育てなどで第一線の病院で働けていない状況を説明されました。このような中で先生が考え出されたのは女性医師が子育てをしながらもうまく働いていける制度であり、短時間労働の正職員という発想でした。また、保育園も病児保育まで考えられ、働く環境も整えられました。そしてこのような制度は女性医師のみならず、誰もが利用できる制度でなければならず、不公平感がない制度が必要ということを強調されました。そこから表題の職員のワークライフバランスということへ繋がっていくわけです。

先生はご自身の病院で実践されているいろいろな制度をご紹介して下さいましたが、全職員が無理なく働いていくことで収入もあがるということもおっしゃっていました。これはとても重要なことです。このようなことがあって、他の病院の管理者も納得させられるわけですから。

kouen 1時間ほどの講演でしたが、とてもわかりやすく、論理的で非常に勉強になりました。講演のあと、たくさんの方から質問やコメントが出されました。通常、このような講演では1.2の質問と座長からのお決まりの質問などで終わるのですが、この日はたくさんの方が発言し、終了時間まで1時間ほどの討論が続きました。
その中で、やはり、自分たちが置かれている環境が清野先生のお話されたようなものとは程遠いことを考え、このようなシステムが全国の病院や職場で考えられるようになればという想いを強くしました。参加された方はそれぞれの職場に帰り、これからこの講演をいろいろな形で生かしてくださるのではないかと思います。

なお、今回の講演会には女性医師ばかりではなく、男性の管理職の方や医師会からもたくさんの参加があったことを申し添えます。
ご参加のみなさん、本当にありがとうございました。

文責 塚本江利子、平成21年8月記

シンポジウム
「10代の性の今~医師・親・教師はどう向き合うか」を開催して

北海道女性医師の会 理事:長島 香(勤医協札幌病院産婦人科)

平成21年5月9日、北海道女性医師の会主催で上記シンポジウムを開催しました。このシンポジウムには女性医師、小・中・高校教諭、養護教員、医学生、親など約70人が集まり熱心な討論が行われました。私が司会を担当致しましたので、ここに報告致します。

北海道は10代の性感染症や人工妊娠中絶率が高いことが知られています。性のトラブルの予防・早期対応のために、学校・親・医療がネットワークを作る必要があります。このシンポジウムではまず道内で性教育を熱心に行っている3名の医師が講演し、次にデートDV予防教育を紹介、最後に皆で10代の性の現状や問題点を話し合いました。以下に講演内容を紹介します。

講演1 小樽保健所長:秋野 恵美子氏

秋野先生は長年熱心に子どもたちにエイズ教育をされています。今回、どのように子どもたちにお話されているかを講演頂きました。子どもたちには<行動変容を伴う性教育>を意識して話している。そのために中学校3年以上にはエイズについて話すことは欠かせない。エイズの予防知識を正しく持てば必ず行動は変容する。またエイズだけでは話が重くなるのでセクシュアリティを説明しながら、心が温かくなるメッセージを伝えることにしている。3歳から小6の子ども達には口・胸・性器のプライベートゾーンを説明し、性暴力の被害者や加害者にもならないようにすることが大事、と熱く語られました。カナダの性教育者・メグ・ヒックリングさんの講義を受け、メグさんに自分の講演のメッセージ力を確認してもらったという話もありました。子どもの心理を捉える性教育力をあらためて考えさせられました。

講演2 苗穂レディスクリニック院長:堀本 江美氏

堀本先生は日常診療以外に性教育を行い、行政や警察の方にもネットワークをお持ちの札幌の産婦人科医です。日本女医会子育て支援委員会『10代の性の健康支援ネットワーク、ゆいネット』の札幌地区委員としても頑張っておられます。昨年11月に開催した第1回ゆいネット札幌会議に、教育委員会、保健所、市議会議員、女性医師会員、産婦人科医が集まったことを報告されました。子ども達を健康に育てていくためには親・学校だけでは充分でありません。点在している人材を明らかにして<この地域で困ったこと起きたら、ここに相談すれば良い>というネットワークがあると本当に心強いと思います。

先生はまたいくつかのデータを提示されました。10代の中絶の多い県は1位:佐賀県(何故なのでしょう?)北海道:6位、ちなみに札幌市は全国平均の2倍の中絶率を10年以上キープしています。モデル地域になるはずです!日本が先進国の中では女性の経済・政治活動の参画率が格段に低いこと、子宮頚部癌予防ワクチンがアジアの中で医薬品として認可されていないのは、北朝鮮と日本だけ!というお話にも驚きました。最後に「母乳育児の環境整備をすることや、長時間労働を禁止し母と子がゆっくり向かい合える家庭環境を提供することが、児童虐待やDVの犯罪抑制に繋がる」と話されました。日本ではおじさん政治家が自分達に利益を誘導していますが、女性や子どもに目を向ける政治家が必要ですね。

講演3 函館湯の川女性クリニック院長:小葉松 洋子氏

小葉松先生は函館市の教育委員もされています。南渡島地域の中絶やSTD罹患率が北海道平均を上回るという事実や、地元高校生の性行動や意識調査の結果に衝撃を受けた小児科医が中心となり「函館・性と薬物を考える会」を組織されたお話がありました。この会は、子ども達に性教育や禁煙教育をするためには多くの講師が必要なので、医師だけでなく助産師・看護師・保健師・薬剤師にも講師としてエントリーして貰っているそうです。このためクラス単位の講演にも対応できるようになったこと、講師陣のレベルを上げるために講習会を行ったりお互いの講演内容をチェックしあっていること、講師の報酬の予算の無いところには無料でも出向いていること、を話されました。これらの成果だと思いますが、人口1000人あたりの10代中絶率がH15年の23人からH19年は10人まで減少した!というデータは素晴らしいと思いました。またこの活動に函館市長が「知恵の予算」として費用をつけ後押ししてくれていることも紹介されました。
最後に先生は、子ども達の教育を大切にしてくれる政治家を見抜く親の力、性教育活動を継続するには仲間とよく飲み・よく食べ・よく喋ることを大事にしていると話され、会場から拍手喝采を受けられました。


3人の医師の講演の後にデートDVの講演をしていただきました。

NPOピーチハウス~女性と子どもの元気の輪~

このNPOは札幌市の大学や高校でデートDV予防教育をしています。代表の志堅原さんを含む3名のメンバーに模擬講演をしていただきました。「愛されているから」と思っていたものが「実は相手に支配されていた」、「気づかないうちに恋人を暴力で支配してしまった」等々のことに、子どもたちが早く気がつくように対話形式で話を進めていきます。話の中で「暴力はそれを振う人が選んでしている」ことで「選ばないこともできるはず」、また「被害を受けるあなたは何にも悪くない」というメッセージを伝えます。最近は大人も含め女性の5人に1人がDV被害者だそうで、DVは被害者のみならずその家庭の子ども達をもボロボロにします。加害者も幸せにはなれません。子ども時代からDVの芽を早い段階で気がつき・切り取るこのプログラムは、今社会にとても必要なものだと感じました。

ここまでの講演で残り30分となりフリートークをお願いしました。精神科医からの発言「男子高校生が女子に暴力を振るっているのに出くわして、止めるように注意したことがある、恐怖を感じたが、知らん振りしないで関わるのは大事だと思った」。高校教師からは「勤務する高校には、安心して帰る家のない子どもがいる。3割の子どもは朝食を食べられない。勉強の前に生活が成り立っていない子ども達にどうやって向かえば良いのか?望まない妊娠や性行為感染症にかかったという話も稀ではない」という話がありました。他の高校の先生からは「自己肯定感の乏しい子どもが多いことを感じる」などの意見がありました。「寂しい子どもは認められたいがために早くから性交を開始する」と一般に言われており、私も日々の臨床でそれを実感しています。

子どもは自分で気がつかないうちに性のトラブルに巻き込まれるかもしれません。トラブルを予防する教育や、お金の心配をせずに相談できる場所が必要です。今回いろいろな職種の方にお集まり頂いて、忌憚のない意見を交わすことが出来たことは大きな収穫でした。今回を良き機会として10代の子ども達を守るネットワーク作りが加速されることを期待しております。

『女性医師の今~女性医師はいかに生きているか』を開催して

10月24日金曜日の夕方、北海道大学の教養食堂<はるにれ>で上記のタイトルの講演会・懇談会を開催しました。


当日は急に冷え込みが強くなり、さらに日中は雨風が強く、何人の方が集まって下さるのかと不安な思いでおりました。その不安を払拭するように北大・札幌医大・旭川医大の学生さん、大学のみならず一般病院の若い女性医師の方々が多数ご参加下さり、幹事一同本当に嬉しく胸躍る思いをしました。
今回は3人の先生に<自分史>と言いましょうか、日常生活、ワークライフ・バランス、そして医師としてのキャリアアップに関してご講演いただきました。(詳細は北海道医師報に投稿しましたのでご覧下さいますよう!)

最初は足寄町の我妻病院・院長の池田千鶴先生より、地方で医療を行うことになった経緯、在宅医療を含めて地方で医療を行うことの喜び、女性はプライマリー・メディスンに向いている!などのお話がありました。

お二人目は北大第1内科の准教授の別役智子先生で、医師になってからいくつかの岐路にさしかかったときも、小さい頃からの夢に向かって道を選び現在に至っている、というお話は非常に印象深いものがありました。

最後は2歳のお子さんを育てながら、病理医として北大病院で活躍中の久保田佳奈子先生でした。育児と医師としての仕事を両立されている今、24時間対応してくれる<北大病院保育園ポプラ>と同僚の方々の理解にずいぶん助けられているとお話されました。

講演のあとは学生さんと医師達が入り交じっての、4グループに分かれての懇談になりました。どのグループも和気藹々!話がはずんでいましが、会場の関係で話が盛り上がっている最中に終わりの時間が来てしまい残念でした。

最後に北海道医師会の常任理事、当会の理事もお引き受け下さっている藤井美穂先生に、仕事も家庭も両立させて生き生きと頑張りましょう!というお話をいただきました。

次回は1月10日に札幌医大で会を開く予定にしています。皆様奮ってご参集下さいますようお願い申し上げます。
会の開催にご尽力下さいました理事の塚本江利子先生(セントラルCIクリニック)、別役智子先生(北大第1内科)、新谷朋子先生(札幌医大耳鼻咽喉科)に感謝致します。

(平成20年11月2日 文責 守内)

『女性医師・研究者としてのキャリア形成
 ―私の経験からー』

北海道大学大学院医学研究科 予防医学講座
公衆衛生学分野 教授 岸 玲子先生

4月12日、当会総会に先立って岸玲子先生の講演会を開催しました。
プライベートなお話も!という無理なお願いを快くお引き受けくださり、1時間半にわたって仕事と家庭生活をどのようにバランスをとって、これまで頑張り成功されたかを講演下さいました。会場には会員のみならず、男性医師や医学生さん達もおいででした。

以下に講演の内容を要約します。

岸先生は帯広出身。北大で公衆衛生学教室で博士課程を修了された後、札幌医大で助手になられました。札幌医大在職中、1979年にはマイアミ大学に1989年にはハーバード大学へと2度留学されています。ハーバード大学の大学院で学ばれた時は、ご主人を日本に残し、お子さん3人をお連れになっての留学だったそうです。

また、欧州にもたびたび出かけられて、北欧を中心としての労働者の健康増進や高齢者のQOLに関する研究をされました。

1997年秋に北大の公衆衛生学の教授に選出されて以来、人が生まれる前(胎児期)から、働く人たちの労働衛生の問題、お年寄りが長寿で高いQOLで生きるようにその健康と福祉の課題に取り組んでおいでです。
2005年に「環境と人権がつくる人々の健康と安全」をテーマに札幌で日本公衆衛生学会を主催、今年6月には「人間らしい労働と生活の質の調和—-働き方の新しいグランドデザインを」のテーマで日本産業衛生学会をされる予定です。

これからの公衆衛生学は日本での格差社会、ホームレス増加や、小児虐待の激増、労働と健康、高齢者への虐待など、人権や生活の質をめぐる問題に対して、意欲的に取り組まねばならないとお話になりました。

このように研究者として大成された岸先生ですが、3人のお子様の育児と研究生活を両立させることが出来たのは、保育所やご近所の方の力が大きい。また、女性研究者として女性である故に受けた偏見や差別が無いわけでは無い。大学などでも管理運営に携わることは少なく、女性のほうがの野心が無いため、率直に “正論”を述べるために却って排除されがちである。と、いつも私達が感じていることを述べられました。

北海道女性医師の会

会長 守内 順子

昭和34年(1959年)日本女医会北海道支部として発足し、平成15年4月に北海道在住の女性医師の社会的QOL向上を目的として北海道女性医師の会が設立されました。

今まで日本女医会北海道支部としての女性医師の親睦に加え、育児支援、就労環境調査、北海道女性医師史編纂(北の大地を抱きしめて)、思春期の性の問題や性差医学の勉強会などを行ってきました。

現在、会員は全道各地で活躍している約270名の女性医師。理事は22名です。

昨年秋以来、女性医師(学生)を支援するために札医大、北大、旭川医大、旭川、釧路、足寄、函館、室蘭、小樽、苫小牧在住の先生に各地(大学)の拠点理事として活動を依頼し、本会の情報交換・交流の場、女性医師および女子学生のサポート・ネットワークを構築中です。

女性医師が増加し医師国家試験合格者のうち女性が3割を占めるようになり、今後さらなる女性医師の社会的活躍が期待されます。ところが、医療崩壊・医師不足が叫ばれる昨今、女性医師の評価はいまひとつです。最近のTVの番組では、女性医師の増加→離職率が高い→医療崩壊の一因となっている!?と放映されました。残念ながら、何故離職率が高いのかは論議されていません。旭川地区でのアンケート調査では、3年以上離職している女性医師は現場復帰の困難さが増す、従って離職期間を短くする努力が必要であるという結果が出ています。離職期間を最小限にするには、勤務先の経営者側の積極的な子育て・介護支援プログラムが必要なことは言うまでもありません。
最近、旭川医大は<二輪草プラン>で子育て介護支援、復職支援を開始しました。また、北大病院も24時間受け入れ可能な保育園ポプラを設置しています。ようやく女性医師を支える動きが出てきました。
男性医師も女性医師が仕事を続ける重要性を認識するようになりました。その表れの一つが北海道医師会の動きに見て取れます。

最近、道医師会は病院管理者を対象に【女性医師の勤務環境の整備に関する講習会】を開催しました。下記にその案内状を抜粋しました。

《現在勤務医の労働環境の悪化が指摘されている中で、女性医師が働きやすい勤務環境を整えることは、勤務医全体の勤務環境の改善に繋がるもので、医師確保対策の観点からも、地域医療を支える上で極めて重要なことであります。(中略)つきましては、北海道医師会として女性医師が出産や育児により職場を中断することなくライフステージに応じて働くことの出来る職場環境づくりのために、講習会を開催ことにいたしました。(後略)》

このように政府や医師会も女性医師を働きやすい環境を整えなければならないと重い腰を上げてきています。私も30年以上ライフステージに応じて働いて来ました。現在もフルタイムではありませんが勤務を続けています。医師は幾つになっても働き甲斐がある職業だと考えています。これから医師になられる皆様にも、ぜひ頑張って生き生きと楽しく仕事を続けて頂きたいと思います。

北海道女性医師の会は北海道で働く女性医師のサポーター集団です!

北海道の各地にネットワーク拠点があり、相談する相手がいて細かい情報も手に入るようにしています。
私たちはこの会を会員相互の親睦の場・切磋琢磨の場になるよう、若い女性医師たちにとって先輩より学ぶ場となるよう、また先輩医師たちにとってこの激動の時代を乗り越えていかなければならない後輩医師たちを援助・激励する場になるよう活動して行きます。

2008年1月 於:札幌医科大学『女性医師と女子学生のお喋りフォーラム』講演要旨

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